表題番号:2003A-117 日付:2005/03/22
研究課題「ない」文を含む音声的特徴と表現意図
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院日本語教育研究科 助教授 戸田 貴子
研究成果概要
本研究では、話し手の表現意図が韻律によってどのように実現されるのか、また、聞き手は相手の発話における韻律特徴から話し手の表現意図をどの程度理解できるのかということを、日本語母語話者と日本語学習者間において音響音声学的手法を用いることにより比較検証する。
まず、ベースラインデータ構築のため、日本語母語話者を対象とした録音実験を行った。この実験はスクリプトを用意し、調査協力者にスクリプトを発話してもらってその音声を録音し、音声資料を収集するものである。このスクリプトには、場面設定や話者の表現意図が調査協力者に実験時間内の短時間で分かりやすく伝わるよう、イラストを併載した。次に、音声分析ソフト SUGI Speech Analyzerを用いて音声資料の音響分析を行った。1)語幹のアクセント、2)全体のイントネーション、3)否定辞「ない」のイントネーション4)全体の持続時間、5)否定辞「ない」の持続時間である。アクセントおよびイントネーションに関する分析には、ピッチ曲線の抽出を行った。4月には、日本語母語話者および日本語学習者の知覚の実態を明らかにするために、知覚実験を行う予定である。研究成果は韓国日本学会・日語日文学会などで発表する予定である。