表題番号:2003A-111 日付:2004/02/04
研究課題脳波によるヒト前頭部行動モニタリング機能の発達・加齢と個人差研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学部 教授 山崎 勝男
研究成果概要
エラー関連陰性電位(error-related negativity : ERN)は,エラーの検出によって惹起される陰性の脳電位であり,ERNは注意資源の配分を反映する電位として注目されている.本研究では ERNの振幅を指標として,単一課題と二重課題下の異なる情報処理段階に対する負荷が,エラー検出処理へ配分される注意資源量を反映するか否かをEEGの指標で検討した.単一課題はEriksenの認知的葛藤課題を,二重課題は Eriksenの認知的葛藤課題を主課題とし,聴覚刺激に対する選択反応課題を副課題とした.さらに加えて,副課題の難易度も操作した.被験者は主課題である認知的葛藤課題に両手で反応すると同時に,副課題である聴覚刺激の選択反応課題に右足で反応した.その結果,副課題の難易度の上昇によって注意資源の配分量は減少し,それに伴って主課題の反応時間が延長し,同時にERNの振幅は減少した.これは副課題により多く注意資源の配分が必要とされた時に,主課題のエラー検出処理へ配分される注意資源が減少したことを示唆している.また,反応出力段階ではなく,刺激選別段階に負荷をかけた条件でERN振幅は減少した.本研究では減少した注意資源が主課題のエラー検出処理に影響することを, ERNの振幅減少によって示した.また,本研究の結果は ERN脳内発生源である前部帯状皮質の機能的特性に起因していることを示唆した.

キーワード
エラー関連陰性電位 事象関連電位 注意資源の配分 前頭葉モニタリングシステム