表題番号:2003A-105
日付:2004/03/06
研究課題日本及び東アジア地域の環境家計簿分析 -産業連関分析の手法を用いて-
研究者所属(当時) | 資格 | 氏名 | |
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(代表者) | 社会科学部 | 教授 | 鷲津 明由 |
- 研究成果概要
- 1985年について初めて産業連関分析を応用した環境家計簿分析を行っていらい,10年以上がすぎ,その間,同研究を90年,95年についても行うとともに,日本を含む東アジア9ヶ国(日本,韓国,台湾,中国,シンガポール,マレーシア,タイ,フィリピン,インドネシア)についても分析研究を拡張してきた。今年度はそれらの研究をさらに拡張し,これまでのCO2問題をあつかった環境家計簿分析を,早稲田大学政治経済学部・中村愼一郎研究室で開発された廃棄物産業連関表(WIO)を用いて,廃棄物問題についても考察した。その結果,国土の狭いわが国において最終処分場の不足はかねてより深刻な問題であったが,CO2削減と廃棄物削減という2つの課題は必ずしも同時達成可能というわけにはいかないことがわかった。
また,今年度はこれまで蓄積された研究を体系づけて整理するとともに環境家計簿研究が伝統的な消費経済学の理論展開上でどのように位置づけられるかという,規範的な考察を行った。その結果,所得制約のみならず環境制約下での効用最大化問題をどのように整理していくかが重要との結論に至った。その過程で過去の環境家計簿関連の研究のサーベイについても抜本的に行った。すると,この種の研究の発端は社会科学分野の研究者によってではなく,工学系研究者たちによっておこなわれたものであることがわかった。その後環境庁をはじめ地方自治体などによって環境家計簿の概念は推進されていったが,それらは共通して効用最大化問題との結びつきがなく,その点,産業連関分析を応用した環境家計簿分析の理論的意義がさらに確認されるとの結論を得た。これらの議論は今後論文にまとめていく予定である。
また実証研究としては,私たちの生活時間配分がどのような環境影響を持ちうるか,という課題に着手した。つまり人々のライフスタイルは人々が一日24時間をどのような行為に配分しているかということでより具体的にとらえられると考えられるので,ライフスタイルの変化に伴う環境影響についてより具体的に考察しようとする試みである。この研究は来年度以降も引き続き継続する予定である。