表題番号:2003A-070 日付:2004/02/14
研究課題超臨界条件下における岩石・鉱物・マグマと熱水間における元素分配実験
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 内田 悦生
研究成果概要
従来は主として6配位サイトを持つ鉱物と塩化物水溶液間における2価陽イオンの同時分配実験を行なったが、本研究では8配位サイトを持つザクロ石(スペサルティン)と6配位および8配位サイトを持つ角閃石(透閃石)および輝石(ヘデン輝石)を用いて2価陽イオンの同時分配実験を行なった。いずれの実験も500~800℃、1kbの条件下で実験を行なった。また、ザクロ石の実験ではNi、Mg、Co、Zn、Fe、Mn、Caイオンの分配を取り扱い、角閃石と輝石の実験ではさらにSrを付け加えた.
 ザクロ石の場合、Mn付近に極大を持つ、PC-IR曲線が得られ,その勾配は6配位サイトに対する曲線より緩やかであり,8配位サイトが6配位サイトと比べてイオン選択性が緩やかであることを示している。また、温度の増加に伴いPC-IR曲線の勾配は緩やかになり,温度の上昇に伴いイオン選択性が小さくなること示している.なお、Znは,6配位サイトの場合と同様に他の元素とは異なる挙動を示し,サクロ石には濃集しにくいことを示している.
 角閃石および輝石の場合には,2価陽イオンの入り得る6配位サイトと8配位サイトに対応する2つのピークが求められた.6配位サイトのピークはNiとMgの間に、8配位サイトのピークはCa近くに位置しており、Mn付近で極小値を示す.6配位サイトに対応するPC-IR曲線は、8配位サイトに対応する曲線と比べて勾配がきつくなっており、6配位サイトは8配位サイトと比べてイオン選択性がきついことを示している.また、温度上昇に伴い,全体的にイオン選択性は小さくなる。これら2鉱物においては、CoとZnが他の2価イオンとは異なる挙動を示し、鉱物中に濃集しにくいことを示している。