表題番号:2003A-062 日付:2004/03/17
研究課題英国の大学生、教員の英語使用環境と特に標準英語に対する意識に関する調査
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 森田 彰
研究成果概要
題目に関し研究費の制約等から、今年度に関しては調査の根幹となる 「標準英語 (Standard English)」の範囲と形成の過程について、先行研究の調査およびその検証に集中することにした。
先行研究の傾向としては、標準英語の形成に関し、文法・正書法また語義ついての試みとその研究、そして音について試みと研究とではある程度の差異があることが判明した。前者に関しては、18世紀初めを最初の高みとしてその後長く持続しているが、後者に関しては、まだ研究の端緒に至ったのみとの感がある。その理由として考えられることは、当然の事ながら、前者は固定性、ある程度の普遍性のある「文字」を媒介とした分野であるのだが、後者は、20世紀にテクノロジーが発展するまで、再現性・データの備蓄性に乏しい分野であった事が考えられる。つまり、言語の根本は「音声」であるにも関わらず、音は消えてしまって、それに対する反省、分析がしにくかった、と言うことである。
ところが昨今、デジタル技術を中心とした様々な分野のテクノロジーが発展し、英語の世界的価値も益々高まっている。それにつれて、英語教育の重要性もより増大し、標準的音声あるいは許容可能な音声に関する関心が高まり、音声に関する研究も盛んになってきている。
日本における英語研究の意義としては、やはり教育面への成果を大いに考慮する必要があると考えられる。そこで、本研究の次段階として、以下の3つの方向性を考えている。
(1) 標準英語の形成の歴史について研究
(2) 標準的英語発音あるいはその許容範囲についての研究
(3) 英語教育に対する canon のあり方に関する研究

直近の課題としては、まず英国での「標準英語」の概念とその教育のあり方、そしてそれ以外の変種とされる英語使用の現況を整理する必要があると考えられる。