表題番号:2003A-025 日付:2004/11/03
研究課題ステファヌ・マラルメの初期詩篇についての註解研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 川瀬 武夫
研究成果概要
 本年度の特定課題研究は同研究課題の科研費申請のための予備的研究として位置づけられた。
 最新のテクスト研究の成果に基づき(とくにベルトラン・マルシャル編纂のプレイアッド版全集新版
に依拠するところが多かった)、マラルメの初期詩篇にかんする文献学的データの整備につとめるとと
もに、欧米の学術雑誌を中心としてこの分野での新しい研究論文を蒐集し、その書誌的情報をデータベ
ース化した。
 一方で、初期マラルメの詩人的形成に大きな影響を与えたと推測される先行詩人たち、すなわちヴィ
クトル・ユゴー、シャルル・ボードレール、テオドール・ド・バンヴィルらのテクストにも幅広く目を
配り、1860年代前半の時点におけるマラルメの詩的地平の確定に力を注いだ。60年代後半のいわゆる
「危機」の時期をはさんで、マラルメが変わった部分と変わらなかった部分を丁寧に腑分けしていく作
業は、今後のマラルメ研究にとって重大な意味を持つと考えられる。
 科研費が獲得されたあかつきには、本年度の予備的調査・研究を土台にして、本課題についての総合
的展開が可能となるはずである。