表題番号:2003A-018 日付:2004/05/10
研究課題アメリカ移民法における国籍概念の形成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 宮川 成雄
研究成果概要
 本年度は国籍概念の実務面での展開を比較法の観点から研究するために、2004年度から開設される法科大学院での臨床法学教育の一環として、外国人法クリニックのあり方について検討した。臨床法学教育は、指導教員の監督の下に学生によって現実の依頼人に法律サービスを提供させ、学生の実務教育ならびに実務から法理論へのフィードバックを得ることを目的とする新しい法学教育の試みである。この教育方法は、現実の問題解決について他の学問分野との学際的協力を促進し、法理論の妥当性を関連諸科学とのつながりの上で検討する長所をもつ。
 早稲田大学の法科大学院での臨床法学教育は、一般民事クリニックや刑事クリニックだけでなく、より専門的な法分野に特化したクリニックを設置する予定であり、本報告者も、出入国管理・難民法に特化した外国人法クリニックを実施する予定である。このクリニックでは、日本における外国人の人権保障について、日本の入管法制の母法であるアメリカ移民法の比較検討を踏まえ、アメリカのロースクールにおける移民法クリニックとの連携活動をも視野にいれている。外国人法の分野にとどまらず、多様な法分野での臨床法学教育の展望について、拙編著『法科大学院と臨床法学教育研究』(成文堂、2003年)を公刊した。