表題番号:2003A-016 日付:2009/05/11
研究課題ヨーロッパにおける原子力政策の動向と原子力法の修正
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 法学部 教授 首藤 重幸
研究成果概要
ドイツは政策として、原子力発電所の寿命を32年に設定し、その寿命が尽きれば発電を停止することを決定した。そして、新規の原子力発電所は建設しないことも決定したので、近い将来、ドイツでは原子力発電がなくなることになる。しかし、これによっても、最終処分場の建設問題は未解決のまま残されており、これからのドイツにおける原子力発電問題の焦点は、ますます最終処分場問題に移っていくものと考えられる。さらに、原子炉の解体をめぐる国の関与のあり方や、政策によって原子炉を停止させられることになるのであるからとして損失補償をめぐる議論も登場せざるをえないという指摘も出されていた。
 このような状況のなかで、ドイツの原子力発電所に対する従来からの法的規制がどのように変化してゆくのか、そして最終処分場に関する現実的な法的規制を、どのように創設してゆくのかの議論の検討をおこなった。
 最終処分場問題については、ドイツにおける原発反対運動のリーダー的存在である社会民主党の国会議員から、彼が提案している案に関して、インタビューをする機会をもつことができた。そして、彼が自らの提案する規制を文書化した資料(草案段階)を入手することができたので、それの検討を行った。
 上記のような点に関する議論が、現時点では、いまだ明確にドイツ原子力法の改正に結合しているということはいえないとしても、原子力発電の停止に向かって、ドイツ原子力法が、どのような方向に改正されてゆくのかの輪郭は把握することができた。