表題番号:2003A-011 日付:2005/02/09
研究課題『ディヴァガシオン』における政治と文学
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 岡山 茂
研究成果概要
  
マラルメの『ディヴァガシオン』についてはまだ論文が書けていないが、2003年4月にはアレゼール日本(高等教育と研究の現在を考える会)の設立に関わったメンバーと共著で『大学界改造要綱』(藤原書店)を出版した。アレゼールとは歴史学者クリストフ・シャルルが社会学者ピエール・ブルデューとともに1992年に創設したフランスの大学人たちの研究会である。私はかつてクリストフ・シャルルの『知識人の誕生1880-1900』を通してサンボリストのドレフュス事件の折の活動を知ったこともあって、アレゼールの活動にも興味をもっていた。そしてこのアレゼールとの関わりもこれまでのマラルメ研究の延長であると考えている。つまり19世紀末以降の知識人の「アンガジュマン」を批判的に検討すること、そしてマラルメが生きていた時代の政治的・文学的言説を研究することは、いまの大学に関する言説を反省するためのよすがとなり、19世紀末に復活したフランスの大学の今日における変貌を考えるための手がかりにもなるということを、私はアレゼールとのかかわりを通して知ったのである。2002年2月に特定課題研究費でパリに滞在したときにもシャルル氏にインタビューをしたし(これは『大学会改造要綱』に翻訳して収めてある)、2004年1月に同じように特定課題研究費でパリに滞在したおりにも、シャルル氏と日仏の「大学改革」について意見を交わした。マラルメやサンボリストに関する論文のほかに、これからは日仏の高等教育の歴史や現状を比較した論文も発表していくつもりであるが、いずれそれらは19世紀末から20世紀初頭にかけてのサンボリスト(知識人)論として一つにすべきものと考えている。