表題番号:2003A-007 日付:2004/04/09
研究課題地域経済と地域金融機関
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 森 映雄
研究成果概要
 地域金融機関としての機能を有する「信用金庫」が地域経済に及ぼす役割を研究課題としている。信用金庫が抱える「不良債権」が地域経済に悪影響を及ぼしている。それを把握するため1段階として「信用金庫の不良債権」について成果を纏めた。この論文は、金融構造研究会「金融構造研究」第26巻(2004年4月発刊予定)に所収した。
 地域金融機関として信用金庫は、地域のソフト情報を収集し金融機能を果たしている。そのような信用金庫のリレーションシップ・バンキングの重要性に関し昨年3月の金融庁が個別信用金庫にその具体的アクション・プログラムの策定を求めたことで議論が沸騰している。金融構造研究会の年末研究会で「リレーションシップ・バンキングの是非」に関するシンポジュウムで討論者として見解を発表した。ここでは、それに対する批判的所見を述べたが、それが地域経済に及ぼす影響、たとえばそれが地域金融機関の過剰貸出を招来するか、或いは過小貸出を招来し地域経済をどう作用するかについては現在纏めつつある。
 信用金庫については現在個別信用金庫の財務諸表を解析した分析を進行させている。理論的分析は完了し、その実証的分析をしている。現在まではデータ制約もあり実証分析結果が必ずしも理論的仮説に一致していない。データの再検討をして分析をすすめている。今4,5月までには完成できる予定である。
 個別信用金庫の分析をする際、地域経済の動向を示す指標の作成、殊に各信用金庫の営業地域の経済財指標の作成が必要である。主成分分析を利用して営業地盤別の地域経済指標の作成-未だ取り組まれていない作業である-を現在行っている。そのデーターを用いた新たな分析を6、7月に完成させる予定であるし、それについて本年9月の金融学会秋季大会で報告する予定である。