表題番号:2002C-103 日付:2005/11/21
研究課題農業・農村インフラストラクチャーの役割に関する国際比較研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 弦間 正彦
研究成果概要
   本研究は、教育、試験・研究機関・組織を含む広義の農業・農村インフラが、途上国や体制移行国において果たしてきた役割について再評価し、新しい経済・社会環境のもとで農業・農村インフラが持続的に期待される役割を果たすことができる条件を包括的に検討することが目的であった。さらに農業・農村インフラの改善・維持について政府の役割を明確化することも目的とした。調査・分析・考察は、国レベル、コミュニティーレベル、家族農を含む個別農業生産組織レベルの3つのレベルで行なった。国レベルでは、WTOの新ラウンドの結果として国際貿易がより自由化された状況になった場合に、また為替レートや他のマクロ経済状況が変化した場合に、国内の農業部門、非農業部門がどのような影響を受け、それが農業・農村インフラの役割をどのように変化させるうるのかを途上国や移行国の事例に関して分析し、今後の農業・農村インフラのあり方についてマクロ経済的視点より比較・検討した。コミュニティーレベルでは、これまでに農業・農村インフラが地域経済・社会の発展と貧困の軽減にどの程度貢献してきたのかを上記の国においてそれぞれ分析し、成功事例についてその成立条件を整理した。そして地域経済・社会の発展と貧困の軽減に結びつく形で農業・農村インフラを整備するために、政府が果たしうる役割について考察を加えた。ミクロレベルでの検討としては、それぞれの国における個別の農業生産組織が農業・農村インフラの改善を通して享受してきた便益を定量化し、その程度の違いの説明要因を分析した。また横断的な比較により、農業・農村インフラの維持・改善に個別の生産者が果たしうる役割について、管理組織の形態別に考察を加えた。