表題番号:2002C-102 日付:2004/03/25
研究課題1999年トルコ・コジャエリ地震による液状化地盤の流動と被害に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 濱田 政則
研究成果概要

1999年8月17日,トルコイスタンブール市東方約100kmのコジャエリ州を震源としたマグニチュード7.4の地震が発生した.
 この地震によってイズミット湾の湾岸の軟弱地盤地域を中心に激しい液状化が生じ,ライフライン施設および産業施設に甚大な被害が発生した.中でも,サパンチャ湖周辺では液状化にともなって地盤の側方流動が生じ,湖岸地域が広範囲にわたって水設した.
 液状化地盤の側方流動に関しては,既に我国の既往地震における事例研究や多くの模型実験が行われているが,いずれも砂を多量に含む砂質地盤を対象にした研究である.これに対し,サパンチャ湖岸での流動は粘土,シルト分を多く含む地盤に生じていることに特徴がある.
 このため,本研究では,トルコの研究者と共同で,流動地域における地盤条件の調査およびトルコ陸軍地図局の協力により地盤変位の測定を行い,側方流動発生のメカニズムの解明を行った.特に地震前後の航空写真による地盤変位の測定により,湖岸の広範囲の地盤が最大で5mに達する水平変位および最大で1.5mの地盤沈下が発生していたことが示された.また地盤条件の調査から,シルト分を含む液状化を生じ,これが流動発生の原因となったことが明らかにされた.さらに,水道等のライフライン埋設管路の被害と側方流動変位との因果関係が定量的に明らかにされた.
我国の従来からの研究成果にもとづいて提案されて来た側方流動による地盤変位の予測式はトルコでの事例における流動変位を十分な精度で予測し得ることが示された.