表題番号:2002C-009 日付:2004/03/04
研究課題日本におけるスポーツ産業総生産(GDSP)の試算
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) スポーツ科学部 教授 宮内 孝知
研究成果概要
本調査研究では、国民経済統計における<総生産=総支出=総所得>の中のスポーツの占める割合を、政府統計などの信頼の置けるデータソースから積算する算定式を構築することを研究目的とした。結果、スポーツ用品、スポーツサービス、スポーツ情報、スポーツツーリズム等のスポーツ関連業の生産高(Gross Domestic Sport Product: GDSP)は最小値で約9.5兆円になることが明らかとなった。また、学校体育費や社会体育費などの政府公共支出、民間最終消費支出、個人消費支出に占めるスポーツ支出額(Gross Domestic Sport Expenditure: GDSE)は、最小値で約6.2兆円、スポーツ関連業に従事する人々の総所得(Gross Domestic Sport Income: GDSI)は、最小値で約3.1兆円になることが明らかとなった。また、こうした概算結果をもとに、GDSP、GDSE、GDSIの間には互いに流出・流入の関係があることも示唆され、我が国におけるスポーツ産業の連関モデルが構築された。但し、この推計は、スポーツ産業の最大の特徴である社会・厚生面における寄与については評価されておらず、ボランティアの大半を占める無償ボランティアの活動や、ビジネスの市場を通さずに提供されるスポーツの娯楽性(地域クラブチームの観戦)、心身両面における健康面の向上(医療費の圧縮)など、スポーツ産業全体の評価においては、利潤として付加価値を把握する一般経済を超えた、独自の評価手法の確立も求められることが課題となった。