表題番号:2002B-026 日付:2005/03/25
研究課題群集流を考慮した大規模集客施設の最適設計手法及び観客誘導方法に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 渡辺 仁史
研究成果概要
本研究は、群集流の性状把握並びに歩行者行動データの解析により人間行動モデルを作成し、シミュレーションプラットフォームを構築するための一連の研究の一環として実施した。この研究の成果は「歩行シミュレーションモデル」として特許申請中である。
 研究成果の概要は次の通りである。
1. 設計者が理解しやすいシミュレーションモデル
 モデルの構成要素も建築部材、人間といったシミュレーションの都合に合わせた抽象化を行っていない、理解しやすいもののみで成立しており、出力結果、そこに至る過程が非常に理解しやすく、問題点の発見などに活用できるものである。
2. 設計者が利用しやすいシステム
 市販CAD(VectorWorks)による設計図のトレースを主体とした設計者にとってごく当たり前の操作によって入力条件を設定することを可能にした。また、出力を動画として表示することで直感的に人の流れを理解することができ、ログの出力により定量的、統計的に検討をすることも可能である。
3. 実務設計での要求に応える
 開発されたシステムは大手ゼネコン設計部に於いて、実際の設計プランでの避難計画に利用され、実用性が確認されている。
4. 普遍的な歩行者モデルの基礎
 今回は、階避難のシミュレーションを主眼に於いてモデルを構築したが、避難の目的地を自由に配置することで、通常歩行を再現する試みなども成功しており、今後、複数階避難、大規模集客施設での歩行者の誘導、自由歩行の再現などへとモデルを発展させる予定である。