表題番号:2002B-010 日付:2004/03/26
研究課題藩世界の意識と権威―西日本地域の場合―
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 深谷 克己
研究成果概要
 本研究助成費は、01-03年度に認められた同じ課題(藩世界の意識と権威-西日本地域の場合-)の科学研究費補助金の減額分を補う目的で申請し、認められたものである。したがって、この研究成果は、大半は科学研究費補助金によるものと言えるが、特定課題研究助成費がなければ十分に行うことができなかった。両助成費の成果であることを最初にお断りしておく。
 さて、両年度の研究成果は、以下のようにまとめることができよう。
 2002年8月に、徳島の徳島城博物館・徳島県立文書館・徳島県立博物館、高知の山内家宝物資料館、岡山の岡山県総務部総務学事課文書館整備推進班(以下、文書館整備推進班と略記)・岡山市立中央図書館で調査し、コピーや撮影により史料収集を行った。2003年3月には、鳥取の鳥取県立博物館、岡山の文書館整備推進班および岡山県文化センター郷土資料室で調査を行い、必要に応じてコピーや撮影により史料を収集した。2003年度は、8月に山口の山口県文書館、岡山の岡山大学附属図書館・岡山県総合文化センター郷土資料室・岡山市立中央図書館・文書館整備推進班、高知の山内家宝物資料館を調査し、必要な史料をコピーや撮影した。収集した史料は、大名相互の書簡、幕府から大名に宛てた法令、藩から領内村々に出した法令など、大名家文書、藩庁文書、地方文書で、多角的に課題を捉えるよう努力した。
以上の調査に基づき、日光社参をめぐる幕藩の対応や藩の負担、大名の本・分家関係や相続、藩世界における寺院の役割や宗教権威、在地秩序の内容とその形成、地域における政治思想・政治意識の形成など、研究テーマにかかわる課題を考察し、近世社会における「藩」というものに「意識」「権威」をキーワードに迫った。これらの成果は、科研費の研究成果報告書『藩世界の意識と権威―西日本の場合―』(冊子体)にまとめた。
 西日本地域を対象としたが、中国・四国地方に重点を置いていた。今後、九州地方を含めて考察する必要があると考えている。