表題番号:2002B-009 日付:2010/11/16
研究課題民族誌比較に基づく亀ヶ岡社会の階層化過程の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 高橋 龍三郎
研究成果概要
縄文時代晩期の亀ヶ岡文化の社会について、報告者は平等社会を脱して、すでに位階による上下区分が生じた「階層化過程にある社会」だと考える。そのような階層化が進展する原因には普遍性があり、現在でも世界の各地に残る自然民族の民族誌を比較研究することによって、日本では3000年前に起こったことを理論的に復元できるのである。この目的のために2002年度にはパプア・ニューギニア高地のマウント・ハーゲン地区を訪ね、親族構造や出自体系、儀礼と祭祀、ビッグ・マンなどの政治的リーダーにつて調査した。また翌2003年にはパプア・ニューギニア北部を流れるセピク川流域地方をカヌーで訪ね、儀礼や祭祀、イニシェーション、ビッグ・マンの役割と機能、親族構造、出自体系などについて聴き取り調査を実施して情報を収集した。また同年には、もう一つの階層化社会の典型とされる北米北西海岸の先住民社会を調査するためにカナダ・アメリカを訪ね、博物館に収蔵される物質文化を調査し、不平等社会が形成される社会的背景について調査した。
このようにオセアニアと新大陸の両地域を調査したのは、自然環境も異なり生業も異なる両地域において、なぜ共通した社会の階層化過程が見られるかという問題に対して、解答を得ることができると考えたからである。特に定住生活と貯蔵経済、儀礼の専門的知識(秘術)の管掌の格差と生業分化などが重要な要因であることが知られた。
この成果を加えて、2003年度には早稲田大学と明治大学において下記のようなシンポジウムを開催して、縄文社会の複合化、階層化過程について議論した。
1.「縄文社会を考えるシンポジウム Ⅰ」(2003年10月11日・12日)早稲田大学
2.「縄文と弥生」(2003年11月23日・24日)明治大学