表題番号:2002A-876 日付:2013/04/15
研究課題広域ネットワーク上におけるソフトウェアコンポーネント検索機構の実現に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 鷲崎 弘宣
研究成果概要
情報化社会の進展に伴い、従来の一から作り上げるソフトウェア開発方法では、新たに必要とされるソフトウェアを
迅速かつ高品質に供給することが困難になってきている。そこで、コンポーネントと呼ばれる既存のソフトウェア部
品を再利用することで、ソフトウェア開発・保守時のコスト削減と信頼性向上を実現するコンポーネント指向開発が
注目されている。しかし、コンポーネントの効果的な再利用の実現のためには、コンポーネント群から要求を満たす
ものを検索するための機構が必要不可欠である。従来から仕様記述手法・実行情報手法・利用情報手法などが提案さ
れるが、検索時に対象とするコンポーネントの一つの特徴のみを考慮し、総合的に要求に合致するかを考慮していな
い。本研究では、ネットワーク上から収集したコンポーネントの総合的な特徴を考慮し、かつ、追加的な情報を必要
とせず準備コストに優れる新たな検索手法を実現した。具体的には、コンポーネントから自動抽出可能な複数の特徴
情報をもとに、コンポーネント間の構造面・振舞面・粒度面について差異を表し、注目する特徴面に応じて重み付け
を変更可能な有向置換性類似度を新たに提案した。この有向置換性類似度を、検索対象コンポーネントの検索要求に
対する適合性の高さを表す指標として用いるコンポーネント検索機構を提案し、同機構を、同一イントラネットワー
ク上におけるコンポーネント検索システムとして実装した。同検索システムを用いることで、追加的な仕様記述を必
要とせずに、イントラネット上から要求に合致するコンポーネントをその総合的な特徴を加味して検索可能となった。
実現した検索システムの仕組みは、検索対象とするコンポーネントの開発環境の違いに依存するものではなく、イン
ターネットを含む広域ネットワーク上から収集したコンポーネント集合についても同様に適用可能である。今後は、
インターネット上からコンポーネントを自動収集する機構を開発して、この検索システムと合わせて用いることを予
定している。