表題番号:2002A-803 日付:2006/10/24
研究課題廃棄物処理施設の立地に関する計量経済学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 近藤 康之
研究成果概要
廃棄物処理施設のうち,とくに焼却施設に注目し,その立地の変更が環境および経済に及ぼす影響を評価することを目的として研究を行った.評価の方法としては,不動産価格データを用いたヘドニック・アプローチによる評価も候補として考えられるが,今年度の研究では専ら産業連関分析による評価を行った.廃棄物産業連関モデルを線形計画問題へと拡張した方法により,二酸化炭素排出を最小にする場合,最終処分場消費を最小にする場合,いずれの場合でも,広域処理(多数の小規模施設を少数の大規模施設で置き換える.施設における処理効率は高まるが,輸送距離伸長に伴う環境負荷の増大等が予想される)が,最適な廃棄物管理方法として採用されることが明らかになった.
また,持続可能な消費のあるべき姿を模索するために,線形計画問題の双対最適解の値を検討した.その結果,広域処理を含めた廃棄物管理方法の変更により,双対最適解の無視できない変化の生じる可能性が確認された.この点は,廃棄物処理施設の立地を含めた管理政策の変更により,持続可能な消費のあるべき姿自体が変化することを示唆する.
なお,より詳細な地理情報を反映させられるように産業連関モデルを拡張することは,今後の重要な課題のひとつである.