表題番号:2002A-600 日付:2004/02/02
研究課題コンテンツ配信の効用最大化プライシング
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院国際情報通信研究科 教授 田中 良明
研究成果概要
 近年,ブロードバンド通信を利用したコンテンツ配信サービスがネットワークの分野で注目されている.配信されるコンテンツは,映画のような大容量のもの,ソフトウェアのような中容量のもの,ホームページのような小容量のものまで様々であるが,特に大容量のコンテンツを配信する場合には,集中的な輻輳が発生し易いという問題がある.輻輳が発生すると,従来のベストエフォート方式による転送では,ユーザはコンテンツのダウンロードが完了するまでの時間を推測することができない.このようなサービスは,ユーザにとって利用しにくいためコンテンツ配信サービスとしては成り立ちにくい.そこで,輻輳に対する対策が必要となる.サーバの性能を高めて,更に,帯域を増強することにより輻輳を回避することが考えられる.しかし,ネットワークの利用率が低い時間帯には空きリソースが発生して非効率的である.
 本研究では,この問題を解決するために,コンテンツ配信の要求があった際に,配信サーバが,品質クラス別の待ち時間対料金の表を作成してユーザに提示し,配信クラスを選択させる方法を検討している.これにより,混雑時の負荷を平準化し,空いている時間帯のリソースを有効に利用することができ,限られたネットワークリソースを用いて効率的に配信サービスを実現することができる.料金は,一日のトラヒックを基にピーク時間帯とオフピーク時間帯に分けて設定する.ここでは,バックグラウンドトラヒックがないコンテンツ配信専用のネットワークについて検討している.想定するネットワークでは,配信が確定的に行えるので,料金表で提示した待ち時間を完全に保証することができる.本研究では,ユーザ効用の観点から提案したシステムの効果を示している.