表題番号:2002A-594 日付:2004/03/25
研究課題経営システムの設計法の開発とその理論的分析
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 大学院アジア太平洋研究科 教授 黒須 誠治
研究成果概要
システムを設計する(「改善」も含める)方法として、アウトプットとインプットから設計していく方法がある。
アウトプットとインプットからシステムを設計していく方法は、多くの情報システム設計で行われている。しかしこの方法によるシステム設計は、情報システム設計に限らない。工程設計や製品設計などの一般のシステムの設計法としても用いられている。
箱を作る工程設計を例にとると、それはつぎのような手順による。まずアウトプットとしてたとえば「ボ-ル紙製の立方体」を決める。つぎにインプットを「ボ-ル紙」とする。そして「ボ-ル紙」を「ボ-ル紙製の立方体」にするにはどうすればよいかを考える。 一つの案として、「作業員が手でボ-ル紙を折り込んで立方体を作る」が考えられる。別の案として、「作業員がハサミでボ-ル紙から6枚の等しい正方形を切り出し、接着テープでこれらを貼り合わせて立方体を作る」というのもある。
このように、アウトプットとインプットが決まったのち、インプットからアウトプットへの変換案を考え出すことを、ここでは「狭義のシステム設計」と呼ぶことにする。このやり方によると、アウトプットとインプットが重要になる。適切なアウトプットを設定しないと、作っても意味のないシステムができてしまう。また、適切なインプットを設定しないと、予定したアウトプットが得られないことも起こりうる。では、アウトプットとインプットはどのようにして適切なものを設定すればいいだろうか。
翻って考えてみると、われわれがシステムを設計しようとするとき、はじめから上のように、アウトプットとインプットを設定するということは、あまり一般的とはいえないのではないだろうか。上の例でいうと、はじめは、「ボ-ル紙製の立方体を作ろう」とか「ボ-ル紙製の立方体を作る工程を作ろう」ということから設計が始まることが多いと思われる。
つまり、われわれがシステムを設計するとき、最初に始める行為は「~をする」という、なんらかの目的をもった言い方・考え方をすることが多いように思われる。少なくとも、そのような人々もいると考えられる。
 このようなことを種々の例を用いて、示すことができた。そしてこの考え方を下の業績「ワ-クデザイン」に発表した。またこの考え方の応用として、下の業績「ビジネスモデルの1設計法」に発表した。下の他の業績もこの考え方を取り入れている。