表題番号:2002A-543 日付:2006/04/27
研究課題建築構造物のための自律分散セミアクティブ制御システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 西谷 章
研究成果概要
本研究は、建築構造物のためのセミアクティブ自律分散制御システムの開発を目的に、セミアクティブ自律分散制御のあり方を探るための基礎研究として、(1)ダンパ試験機を用いたダンパ加力試験と数値解析を組込んだ解析手法の開発、(2)圧電アクチュエータを用いた微振動制御の基礎的検討、について研究を行った。
 ダンパ試験機を用いたダンパ加力試験と数値解析を組込んだ解析手法は、構造物の応答を数値解析で、ダンパー応答を加力試験により求め、それらを有機的に複合するものである。まず、初年度にダンパ加力試験と数値解析を交互に行うオフライン的な手法を、次年度に初年度の成果を考慮して、ダンパ加力試験と数値解析を同時に行うオンライン的な手法を提案している。両手法を比較検討することで、提案手法の有効性の確認を行った。また本手法を用いることで、ダンパーの特性と構造物の応答を、より詳細に実物理現象に近い状態で把握可能となる。
 圧電アクチュエータを用いた微振動制御の基礎的検討では、まず圧電素子の持つ二つの機能(アクチュエータ/センサ機能)を把握するための単体実験を数多く行い、それぞれの機能について基本的性質を整理した。これら蓄積された実験データと考察に基づいて、圧電素子の構成方程式を考慮した解析モデルを作成し、この解析モデルを用いて新たな制御則を提案するに至っている。また実構造物に圧電アクチュエータを設置して振動制御を行うことを想定し、小型片持ち梁模型による振動台実験を行い、本振動制御手法の有効性について、確認している。