表題番号:2002A-532 日付:2004/02/17
研究課題放電場における特異な力学現象の解明とマイクロ機器への応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 川本 広行
研究成果概要
針対平板電極系放電場における下記のような得意な力学現象のメカニズムを明らかにし,これらをマイクロ機器へ応用することを目的とした研究を行った.本研究により,以下のような成果が得られた.
(1) 静電モーゼ効果 イオン伝導性を付与した水を平板電極にすると,水面が変化する現象が生じる.この現象のメカニズムを解明するために,まず針対平板電極系における力学作用として,暗流域ではクーロン力が,コロナ放電域ではクーロン力に加えてイオン風の反力が作用するが,火花放電域では有意な力は働かないことを示した.つぎに,放電場解析と流れ場解析を組み合わせた解析や実験によって,静電モーゼ効果は,静電力やコロナ放電時のイオン風によって生じることを明らかにした.また,この現象をマイクロマシンの駆動源として利用できることを示した.
(2) コロナジェット現象 針電極が極低剛性の場合,上述のイオン風によって針電極にフラッタ様の横振動が生じることを明らかにした.本研究で得られた知見は,オゾナイザやレーザプリンタの帯電器,および各種プラズマ応用機器や高電圧機器に潜在するトラブルの解決に寄与すると考えられる.
(3) 静電ウォータージェット現象 絶縁チューブの中を水で満たして針電極とし高電圧を印加すると,静電力によって水を吐出する現象が観測される.この現象は,上述の放電形態に対応していくつかの特徴的なモードに分類できることを詳細な観測によって明らかにし,それらのメカニズムを検討した.また,適当なパルス電圧を印加することによって,この液滴滴下が制御できることを示し,この現象を新しいインクジェットプリンタの印字ヘッドへ適用できることを実証した.
(4) その他 静電力を利用した紙の剥離・搬送機構を開発し,特許出願した.