表題番号:2002A-515 日付:2007/03/24
研究課題知覚・記憶実験用絵刺激の標準化に関する研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 文学部 教授 西本 武彦
研究成果概要
 本研究(期間:2002~2003年度)の目的は,知覚・記憶実験用絵刺激(線画)の標準化である.国内では,記憶実験用の言語材料に関しては標準化されたものが数多く存在するが,図形・線画材料に関してはその数が少ない.そのため多くの研究者は米国で標準化されたSnodgrass & Vanderwart(1980)の260枚を部分的に使うことが多い.西本ら(1982,1996)はSnodgrassの具象線画をベースに,日米の文化的差異を考慮した修正を行うと共に新規線画を追加して,現在までに359枚の具象線画を作成した.さらに,これらの線画に関して,これまでに命名一致度,命名潜時,獲得年齢等の属性を測定して標準化した(第1次~第3次標準化).
 今回の研究は,これまでの流れの中で第4次標準化に位置づけられる.初年度(2002年度)においては第4次標準化としてこれら359枚のうち,さらに82枚を修正して新たにリニューアル版を作り,その3分に1について上述の属性を測定した.さらに第2年度(2003年度)で残りの3分の2についてデータを収集して標準化を終えた.
 本研究では通称droodleと呼ばれる無意味線画の標準化も目的とした.現有の200対にさらに76対を新規追加し,複雑性,ラベルの適合性などの指標を基に選択を繰返し,最終的に再生・再認記憶テストを実施して記憶実験に適したセットを作成した.これらのセットは認知心理学の導入実験の材料に適しており,今後の活用が期待できる.
 今後の課題としては,①具象線画の数の拡充,②無意味線画のイメージ喚起性の測定,③データベースの公開,の3点である.これらについては2003年度科学研究費によって現在研究を遂行中である.