表題番号:2002A-101 日付:2003/04/30
研究課題シェリングの宗教哲学と現代における宗教のあり方についての研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 那須 政玄
研究成果概要
 後期シェリングの神話と啓示を研究することによって、近代の枠組みを反省するための基盤とすることを目論んできた。そのために、近年発見されたシェリングの『啓示論(1831/32)』を山本冬樹氏と共訳しつつ新しいシェリング像を発見することに努め、また後期シェリングの理解を深めた。
 2002年度は、この『啓示論』の翻訳を継続し、全部で81講義録中、30講義から31講義までを印刷に付すことができた。今年度、『啓示論』の翻訳がはかどらなかったのは、2001年の7月から開始したヤスパースの著作『シェリング』の翻訳に全精力を費やしたからである。この翻訳は、2003年秋に翻訳を完成させ出版したいと考えている。
 シェリングの『啓示論』翻訳の成果として、2002年度に、比較宗教学の観点から、「新義真言教学の宗教的位相」という表題のもとに、新義真言宗の依拠する「加持身説法」と、シェリングの「三位一体」解釈との比較を行った。この論文は、2002年10月に大蔵出版から出版された。