表題番号:2002A-099 日付:2004/04/01
研究課題イルストラクチャー意思決定問題の構造化支援システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 常田 稔
研究成果概要
管理(マネジメント)の本質は意思決定にあるとするのが通説である。ところが,マネジメントにおける現実の意思決定問題の多くは,イルストラクチャーな(意思決定における目標・代替案・環境条件の一部または全部が不明なため問題が構造化されていない)状態にある。そのような問題に対しては,意思決定の規範理論を適用することはできない。
 そこで,本研究では人間がイルストラクチャーな問題を構造化していく過程を支援するためのシステムの開発を行った。昨年度にパブリック・マネジメントに特化した場合の構造化支援の方法論についての研究を行っているので,今年度はその成果を発展・一般化させる方向で研究を進めた。
 先ず,一般にマネジメントにおける意思決定を支援することとはどのようなことかを明らかにするために,支援の概念的なフレームワークを構築した。そこにおいては,現実の人間のマネジメント行為からの素直な仮定のもとにマネジメントにおける意思決定過程に対するひとつのモデルを導入し,そのモデル上であるべき支援行為とあるべき支援理論がどのように位置づけられるかを明らかにすることによって,支援を統合的に分析・評価することが可能となるようなフレームワークを得た。次に,マネジャーが自己の意思決定問題を構造化することを支援するシステムを開発した。それは,イルストラクチャーな意思決定問題に対して,意思決定者の真の意思決定目標は何であり複数の目標の目標間構造はどのようになっているかを意思決定者が自発的に気づきそこから自己の意思決定問題を構造化するべく,システムが意思決定者に適切な手続きを教示し意思決定者に目標階層図を半ば自動的半ば強制的に描かせることによって問題の構造化を促すというものである。最後に,環境管理システムにおける意思決定の構造的な特徴を分析した。それによって,環境管理システムを設計するためのいくつかの指針を得た。