表題番号:2002A-068 日付:2003/05/07
研究課題機能ルミネッセンス用ナノ微粒子材料の開発とデバイスへの応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 加藤 勇
研究成果概要
シランガス流量を30ml/min、アルゴンガス流量を110ml/minとし、コンピュータでのガスフローの精密制御により、チャンバー内のガス圧を250mTorrとすることで、直径約5nmのシリコンナノクリスタルを内部に含む、直径約20nmの水素化アモルファスシリコンナノボールを作製することができた。これをシリコン基板上に堆積させることで、水素化アモルファスシリコンナノボール膜を得る。
以下にその膜の構造およびPL(フォトルミネッセンス)特性の検討結果を示す。
1.この膜を酸化すると室温でPLが観測できた。
2.成膜時の基盤位置を6cmとし、大気中220℃で72時間酸化という条件下で発光強度が最大になった。
3.成膜時に基板電位を変化することで、アルゴンイオン衝撃が水素化アモルファンナノボール内に存在するシリコンナノクリスタルの生成に関係しているがわかった。
4.放電ガス(Ar)に水素ガスを混ぜることで、PL発光スペクトルのピーク波長を短波長側へシフトすることができた。
5.高分解能透過型電子顕微鏡(HRTEM)を用いた観察により水素化アモルファスシリコンナノボール(直径約20nm)の内部にシリコンナノクリスタル(直径約5nm)を確認できた。
6.フッ酸処理を行いその後酸化することで、水素化アモルファスシリコンナノボール内部に含まれるシリコンナノクリスタルの粒径を小さくすることができ、その効果により室温で黄色発光が観測できた。
7.高温での純酸素アニール処理を行うことで、上記同様シリコンナノクリスタルの粒径を小さくすることができ、室温で青色発光が観測できた。また、この純酸素アニール処理の温度を調整することにより、青色だけでなく他の波長の可視光の発光も観測できた。
8.シリコンナノクリスタルの粒径を測定することで、粒径を小さくしたときのPL発光波長が2次曲線を描いて単調減少することを確認できた。