表題番号:2002A-061 日付:2003/04/04
研究課題経営資源、組織能力と企業評価
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 教授 藤田 誠
研究成果概要
 近年企業評価の視点は、土地、建物、設備・備品などの「タンジブルズ」から、ブランド、ノウハウ、知識、技術力などのいわゆる「インタンジブルズ」に移行している。こうした問題意識は、政府が2002年7月に公表した『知的財産戦略大綱』のなかにも明白に述べられているところである。かかる問題意識を反映して、経済産業省では2001年8月から2002年6月まで「企業法制研究会(ブランド価値評価研究会)」を形成し、インタンジブルズのなかでもとくに「ブランド」に関して集中的な研究を行い、2002年6月に報告書をまとめた。筆者も本研究会に参加したが、その研究会で実施したアンケート調査ならびに本研究会が算出した日本企業のブランド価値との関連を分析した結果が、下記に示されている論文である。
 この論文の概要を要約するならば、企業規模ならびに事業の性格(「BtoC型」か「 Bt B型」か)の効果を差し引いても、ブランド管理組織を設置している企業のブランド価値は、そうした組織を設置していない企業よりも有意に高いことが判明した。またブランド戦略に関しては、「一貫したメッセージの発信」ならびに「ブランド・アイデンティティー確立と使用規準の作成」を重視している企業の価値が高いこともわかった。さらに、企業ブランドと製品ブランドは個別に管理している企業のブランド価値が高い傾向にあることなども判明した。本論文の詳細は、下記論文を参照されたい。
 インタンジブルズのなかで、ブランドは大きな比重を占めると想定されるが、今般の経済産業省モデルにより、その価値が客観的数値として把握できたことは大きな進歩である。しかし、ブランドは技術力、ノウハウ等との相乗効果により実現されるものである。そうした意味では、ブランドに留まらず、技術力、ノウハウ等のインタンジブルズをも測定するモデルの構築が、企業評価の分野では必要とされている。