表題番号:2002A-027 日付:2003/05/09
研究課題フランス絶対王政期の文化的統合と「文芸共和国」
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 第一文学部 教授 森原 隆
研究成果概要
上記のテーマについて、まず内外の研究文献や史料に関する全般的な調査を行った。
外国のものとしては、フランス国立図書館、国立古文書館、およびフランス外務省の
文書館の『ガゼット』や外国紙関連の手稿史料について、未入手の文献の包括的な収
集を継続して行った。国内では、京都大学、同志社大学所蔵の文献を中心に、収集と
調査を継続して行った。本研究は、フランス絶対王政期における「文芸共和国」概念
が、当時の文化的統合にいかに寄与したかを検討するものであったが、特に近年フラ
ンス史研究で注目されている、J・ハーバーマスの「文芸的公共圏」理念との関連で
考察を深めた。フランス絶対王政研究やフランス革命研究においても、近年「公共圏、
公共空間」、あるいは「世論」やジャーナリズムの観点からの考察や研究が続出して
おり、最新の研究動向の導入と検討に努めた。本年度においては、研究成果を公表す
るに至らなかったが、2003年10月に広島史学研究会大会のシンポジウムで、こ
のテーマについて研究発表を行う予定であり、成果としての研究準備をすすめている。
今後も支配文化と民衆文化、統合に伴う文化変容の問題などについて考察を深め、「
文芸共和国」概念の持つ意味を問い直してゆきたいと考えている。研究紹介や研究ノ
ートとしてまとめる予定であり、このため今後もこの調査や分析にかかわる必要を
感じている。