表題番号:2002A-006 日付:2003/10/31
研究課題『ディヴァガシオン』の外部―ドレフュス事件とサンボリストたち
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 助教授 岡山 茂
研究成果概要
この研究は、マラルメの周辺にいたサンボリストたちを彼らのドレフュス事件への対応を通して文学史のなかに再配置することを目的としている。そのようにすることによって、マラルメの『ディヴァガシオン』に封じ込められている文学的・歴史的真実を、社会科学の領域にまで解放することができるのではないかと私は考えている。たとえば文学史をピエール・ブルデュー、クリストフ・シャルル、ジゼル・サピロなどが開拓した「知識人論」という領域につなげること。ブルデューが亡くなったいま、ドレフュス事件のときの「アンテレクチュエル」のような「集団的知識人」が注目されている。クリストフ・シャルルを中心とした「アレゼール(高等教育と研究の現在を考える会)」という大学教員の団体は、マラルメの「文学」をあらたな社会科学的な知によって読み替えているように私には思われた。というのも、マラルメはオックスフォード大学やケンブリッジ大学について語っているけれども、そのことと1896年になってようやくフランスに大学が復活することとは無関係ではないからである。2004年にはなんとか論文をまとめたいと考えている。