表題番号:2001C-013 日付:2004/05/18
研究課題日米欧の研究者による英語版日本近現代史教科書の共同執筆
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際教育センター 助教授 岡本 公一
(連携研究者) New York University 助教授 Louise Young
研究成果概要
 外国の大学や、日本において留学生にたいして英語にて日本近現代史を講ずる場合、先ずその授業に用いる教科書・教材の選定が大きな問題となる。本プロジェクトは、日米の研究者によって、現代の研究水準を反映し、かつ学部生レベルの日本近代史の講義を行うことを念頭においた、英語版の教科書を執筆編纂することを目的として出発した。
 しかしながら、この2年間に2冊の日本史の優れた教科書が出版され、我々のプロジェクトでは如何にそれらの教科書とは違った形で歴史教育に貢献できるかが大きな問題となった。そこで、プロジェクト担当者の岡本、Youngに加え、College of William and MaryのEdward Pratt氏(来年度よりDean of Undergraduate Studies)を加えて、現在流布している教科書の内容を検討し、加えて教員が求める教科書とは何かを議論した。
 結果として、日本史の資料を中心に据えた近代を鳥瞰できるような教科書を作成することに議論が集約された。そこで、構成内容の件の検討を行い、大まかの目次を作成。資料の選定については、政治史的、経済史的資料に片寄りがちであった従来の資料集、教科書とは違い、民衆の日常生活に焦点を当てた資料を用いることとした。候補となる資料のサンプルを持ち寄り、今も検討が続けられている。
 残念であったことは、本プロジェクト遂行中、2001年9月11日のテロ事件、および2003年のイラク戦争によって、本来予定されていた全体会合を中止せざるを得ず、電子メール等のコミュニケーション手段によらなければならなかったことである。これにより、資料を持ち寄り集中的に検討する機会を失し、計画遂行に大きく狂いが生じてしまった。それでも、担当者が協力者同士と個別に会い、検討する方法によって、この緊急事態をしのいできた。特定課題の期間は過ぎてしまったが、本プロジェクトは現在も進行中である。