表題番号:2001C-011 日付:2003/11/26
研究課題海外の日本語バイリンガル・イマーションプログラム導入教育
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 日本語研究教育センター 助教授 宮崎 里司
(連携研究者) 日本語研究教育センター 教授 川口 義一
(連携研究者) 日本語研究教育センター 専任講師 戸田 貴子
研究成果概要
本研究は、海外の年少者並びに大学レベルの日本語教育の中で導入されている、日本語バイリンガルイマーションプログラムの資料収集を行いながら、そうしたコースの特徴的なデザインを検証するとともに、学習者の日本語習得過程についても調査解明することを目的としたものであった。また、海外で、イマーションプログラムを導入している教育機関に所属する教育関係者からの発信が不十分であるために、当該プログラムに関する情報が共有されていないため、一部の語学教育者及び教育機関の関心にはなっているが、これまでの日本語教育の分野では、注目すべきキーワードにはなっていない、イマージョンプログラムに関する学際的な位置付けを図ることも目的とした。具体的な研究成果として、2001年、2002年の両年度で、海外、とくにオーストラリアの日本語イマーションプログラムを検証し、言語習得にとって大きな発達要因となる「目標言語に付け浸す」教育が、どのような効果をもたらすかを解明した。とりわけ、ビクトリア州、ニューサウスウェールズ州、クィーンズランド州の、初等レベルのバイリンガルイマーションプログラム導入校での資料収集を行い、州教育省のバイリンガル教育担当者、イマーションプログラム研究者との面談、並びに現地の大学の日本研究科の教員との意見交換、さらに学校関係者、PTA及び児童に対する面接調査を、現地の研究補助員を使い、収集資料の分析、整理を行った。明らかになった結果をもとに、関連論文を執筆し、さらに、教育面では、大学での担当講座である、オープン科目「日本語イマージョンプログラム」やテーマカレッジ「オーストラリアの言語教育政策」(いずれも研究代表者担当)などの充実を図ることができた。こうした成果は、これからの日本語教育に貴重な知見や提言を与え、従来の日本語教育(とくに、外国語としての日本語教育)を大きく前進させる役割を果たすと予想される。