表題番号:2001B-017 日付:2003/05/09
研究課題非線形発展方程式及び非線形楕円型方程式の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 大谷 光春
(連携研究者) 理工学部 教授 北田 韶彦
(連携研究者) 理工学部 教授 田中 和永
(連携研究者) 高等学院 教諭 柳谷 晃
研究成果概要
研究目的にかかげた目標に関して, 以下のような幾つかの興味ある成果が得られた.
楕円型方程式 :
(i) -Δ(|Δu|p-2 Δu) =|u|q-2u x∈Ω, u(x) =Δu(x) = 0 x ∈∂Ω の非自明解が p = 2(m+1)/(2m+1), m ∈ N, q = 2k, k ∈N の時かつこの時に限ってΩの閉包上で解析的になることが示された. (さらに空間次元 d が 1 であるときには, 収束半径が Ω の閉包上で一様にとれる。) 2 階の方程式 -div (|∇u|p-2 ∇u) = |u|q-2 u に対しては, 既に同様の結果が空間1次元の場合に対してのみ知られているが, 4階の場合の方が事情がより簡単である点が興味深い.
(ii)-div (|∇u|p-2 ∇u) = |u|q-2 u x∈Bc = { x∈Rd;∥x∥> C }, u(x) = 0 x∈∂Bc が少なくとも一つの正値解を有することは, 我々の研究で既に示されていが,Ljusternik-Schnirelman 理論と組合せることによって「少なくとも可算無限個の非自明解を許す」ことが示された. これは, ある種の変換を介してこの問題が帰着される, 円環領域における境界上に特異性を有する
楕円型方程式を解析することによってなされるが, この際 Palais-Smale 条件などの検証が境界上の特異性のために困難であった. この点を克服した点に意義がある.
放物型方程式:
(i)劣微分によって支配される回帰的 Banach 空間Xにおける発展方程式
du(t)/dt +∂φ(u(t)) -∂ψ(u(t)) ∋f(t) に対する 初期値問題の可解性, 正則性 が示された.
この枠組は, Galerkin 法による弱解の従来の構成法よりも, より良い正則性を持つ解が自然に構成されるという利点を有する. また 大谷 による Hilbert 空間における劣微分作用素に対する非単調摂動理論を Banach 空間へ拡張する際の第一歩としての意味からも意義がある.
(ii) 内部構造として, 回転磁場を有する非圧縮性流体の流速, 回転磁場, 温度が満たす micro-polar fluid 方程式に対する初期値境界値問題の解の存在、正則性及び一意性が, 大谷 による Hilbert 空間における劣微分作用素に対する非単調摂動理論を応用することによって示された. これにより, 劣微分作用素に対する非単調摂動論の有用性が再確認された.