表題番号:2001A-896 日付:2002/06/21
研究課題モンスーンアジアの人口集中が森林面積に及ぼす影響
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 助教授 太田 俊二
研究成果概要
モンスーンアジア地域にはゴビ・タクラマカン砂漠に代表される乾燥地帯やヒマラヤ山脈に代表される高山地帯のような特殊な地域が多いことから、一人あたりの人口扶養可能な生産力は地球平均に比べて極めて低くく、気候変化や人口圧力にたいしてとくに脆弱な地域であると予想される。
本研究では、人口増加率の高いインド、中国、インドネシアを抱えたモンスーンアジア地域に焦点をあて、人口密度分布から森林減少の大きさと速度を定量化した。このモデルを応用により、森林面積などの土地利用を空間的に表現することが可能になり、同時に農耕地として活用可能な面積と場所も特定された。これに加えて、アジアの主要作物であるイネの収量変化をOhta et al. (1993) の水田水温モデルと結合させることにより予測可能になり、気候変化の影響と人口圧による食糧生産の変化量を同時に定量化できた。
これらの成果から将来の気候変化影響の広域的な特定が可能になるため、生態系保全地域の設定および規模、主要生物種の保全対策などに資する。また、広域の土地利用政策や農業政策(とくに作付)を展開する際の科学的資料として活用されることが可能になる。