表題番号:2001A-876 日付:2003/05/04
研究課題液体燃料の低エネルギー放電による常温液相改質
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 関根 泰
研究成果概要
本年度、特定課題研究によって、私は常温常圧での低エネルギー放電による炭化水素の改質について検討した。低エネルギー放電としては、直流の微少パルスアーク放電を用い、全体として投入電力を10W程度に抑えた。これにより、メタン、LPG、ガソリンあるいは各種アルコールといった燃料が常温あるいは気化温度(百数十度程度)において効率よく二酸化炭素あるいは水蒸気と反応して、合成ガスあるいは水素へと変換された。この低エネルギーDCパルス放電は、非平衡放電であり、高い電子温度を有しながら、ガス温度は常温のままを維持することができ、これによって、これまで不可能であった低い温度領域での炭化水素の改質が可能となった。本放電は、80%近い高いエネルギー効率を有しながら、電源のオンオフにより瞬時に応答し、印加するパルス数に応じて転化率・水素生成量をコントロール可能であり、また炭素の析出もないため、民生用の水素生成装置としての応用が可能である。今後の課題として考えられる点は、効率の更なる向上を実現させるための高効率電源開発および、集積化による大型化、それにともなう電磁ノイズの遮蔽である。これらをクリアすることができれば、自動車用あるいは家庭用の燃料電池への水素供給改質への応用の道が開かれるものと考えている。