表題番号:2001A-838 日付:2002/05/09
研究課題粘性解とその応用
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 石井 仁司
研究成果概要
退化楕円型編微分方程式に対する状態拘束問題に対する粘性解の存在、一意性、解の連続性について研究し、存在と一意性のための十分条件を与えた。さらに、解の連続度についての一般的評価を与えた。一方で、確率制御に関して、状態拘束問題を考え、この問題の値関数が対応するハミルトン・ヤコビ・ベルマン方程式に対する状態拘束問題の解になっていることを証明した。この結果については、第35回中華民国数学会年会での招待講演において発表した。ガウス曲率流の一般化として、石の磨耗のモデルを考察して、石が必ずしも凸でない場合に対応する曲率流を研究した。まず、石の境界面がグラフとして記述される場合に、対応する編微分方程式の粘性解の存在と比較について比較的一般的な結果を得た。その後、レベル・セットアプローチによる石がコンパクトな場合のこの曲率流を考察し、難題であったレベル・セット法における編微分方程式の粘性解の比較定理の証明に成功し、それに基づき粘性解の存在を証明した。ボルツマン方程式の線形化方程式の漸近問題を考慮に入れ、1階の編微分方程式系(無限連立系)の漸近問題を研究した。この問題は、ランダム発展過程の制御問題と関連する。この問題について、一般的な粘性解の存在定理を単調関数族の考えを用いる斬新な方法で証明し、さらに、初期遷移層の発現する場合も込めて、漸近問題の収束、極限方程式の同定を行い、これに成功した。ペロン・フロベニウスの定理、リース・シャウダーの定理に基づく方法で、極限方程式の導出が行われた。以上が研究成果の概要である。