表題番号:2001A-801 日付:2002/06/19
研究課題占領期雑誌目次データベース作成
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 政治経済学部 教授 山本 武利
研究成果概要
連合国軍による日本占領の時代、とくに1945年から49年にかけて発行されたすべての出版物(書籍、雑誌、新聞、パンフレット)や手紙,、葉書の通信物、さらには電話までが連合国軍総司令部(GHG/SCAP)によって厳しい検閲下におかれていたことは、一般にはあまり知られていない。どの出版物も民間検閲局(CCD)に出版の事前ないし事後に検閲を受けねばならなかったのだ。
検閲制度の終了とともに、CCDで保管されていたこれらの検閲済みの出版物は、CCDに勤めていたゴードン・プランゲ博士の尽力で、米国のメリーランド大学に寄贈された。このコレクションはプランゲ文庫と名づけられ、同大学図書館に保存されている。
プランゲ文庫の雑誌コレクションは、学術、文芸、風俗、教育など、あらゆる分野の市販の一般誌を網羅しているだけでなく、全国各地の青年団雑誌、労働機関紙、短歌、俳句の同人誌などの民衆メディアも収録している。所蔵タイトル数は1万3千以上。これらの雑誌の大半は日本国内には現存していないものだ。
これをもう少し効率的に活用できないものかと、占領期雑誌資料を研究上必要とする各大学の研究者約20名が集って目次データ作成委員会をつくり、私が代表となって5年計画で順次データベース化を行うプロジェクトを推進しようということになった。文部科学省科学研究費助成金(研究成果公開促進費)を申請したところ、幸いにも2000(平成12)年度の助成金が得られた。
昨年春には、政治、行政、法律、経済、社会、労働の雑誌タイトル数1420、記事件数24万を扱った初年度の成果物を一枚のCD-ROMの形で作成することができた。現在、2001(平成13)年度の同助成金によって、教育、歴史、地理、哲学、宗教、芸術、言語、文学の雑誌を対象とした第2年度の作業が進行中である。
本助成費を受けて、メリーランド大学当局者との打ち合わせに、9月アメリカに出張した。また占領期メディア研究者との打ち合わせに広島市に出張した。この両出張がデータベース作成に寄与したことは言うまでもない。