表題番号:2001A-621 日付:2003/04/23
研究課題混合媒体の呼吸作用を利用した発電・冷凍システムの研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学総合研究センター 講師 天野 嘉春
研究成果概要
 アンモニア・水混合媒体(AWM: Ammonia-Water Mixture)を作動媒体とし、吸収作用を利用することで電気動力を必要としない、排熱駆動型の熱源機器として、アンモニア吸収式冷凍機が古くから利用されてきた。サイクル論的には、この吸収冷凍サイクルと逆である、発電サイクルの一つにカリーナサイクルは1980年代後期から注目され、様々な研究が行われてきたが、実際の運用を意識した詳細な研究開発は世界的にも数例しか報告されていない。本学では、環境に優しい自然系冷媒であるアンモニアと水を用いた、発電・冷凍サイクルの実証研究を行うための研究設備として、喜久井町キャンパスに「喜久井町キャンパス発電所」を設置した。このコージェネレーションプラントは、ガスタービンをトッピングに持ち、その排熱を蒸気タービンで動力回収するだけでなく、さらにその排出蒸気を駆動源とする、AWMを作動媒体とする吸収式冷凍機とAWMタービンシステムとを並列に設置したユニークなものである。コージェネレーションシステムの出力である熱と動力(電気)とを負荷の状況に対応してバランスよく運用できるよう意図したシステム構成となっている。本研究は、このボトミングに位置するAWMを作動媒体とする吸収冷凍サイクルと発電サイクルとを、対象に、それらをハイブリッド化することで、単独で運転する場合に比べて約10%以上高効率に運転可能であることを実証するための基礎研究である。現在までに、ハイブリッド化するための基礎条件を明らかにすべく、発電サイクルと冷凍サイクルを個別に特性評価を行い、基本特性をシミュレートするモデルを構築した。
 これらの発電サイクル、冷凍サイクルはともに、吸収作用を利用することを特徴とするが、吸収器の性能が非常にシステムの全体性能に大きく影響する。したがって、特にそれぞれの熱交換特性の評価と制御性の評価を行った。実験結果から、発電サイクル側の吸収作用を伴う凝縮器での性能低下が著しいことを確認し、この性能低下を防ぐための循環系統の設置が有効であることを確認した。