表題番号:2001A-604 日付:2020/06/18
研究課題近世火葬墓の考古学的研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 谷川 章雄
研究成果概要
17世紀後葉と18世紀前葉という江戸の墓制の変遷上の画期にほぼ対応して、火葬墓のあり方が変化していった。江戸の火葬と土葬の比率に関しては、17世紀代の墓地のなかで火葬の割合が比較的高い墓地と低い墓地があり、これは寺院と火葬場との関係を示している可能性がある。18世紀以降になると火葬の占める割合が全体に低くなり、土葬が主体となる。火葬には蔵骨器、土葬には早桶・木棺・甕棺という区別が基本的に認められる。火葬蔵骨器の変遷上の画期は、B-1の瀬戸・美濃産の三耳壺・四耳壺が大部分を占めるようになる17世紀後葉と考えられる。こうした変化は、江戸の墓が身分・階層の表徴として秩序化していく過程の一つであった。