表題番号:2001A-602 日付:2003/05/08
研究課題日常及び介護場面における言語及び非言語行動に対する許容度の評価と教育
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 人間科学部 教授 鈴木 晶夫
研究成果概要
 「触る」「触られる」ことの心理的効用は看護・介護の分野では不可欠の治療的要素であるが、その成否は介護者と被介護者の相互作用が緊張のない快適なものになるかどうかにかかっている。一律に総ての人に「身体接触や按手が治癒を促進する」と当てはめることではなく、介護者・被介護者の「身体接触における特性」を考慮できるアプローチを実現することであろう。日常場面でも接触に対する反応や対応には個人差があり、対人スキルの問題がある。他者による身体領域への進入に対する許容は、「触る」側よりも「触られる」側に多くの負担となるが、「触る」側にも負担がないわけではない。
 本研究では、介護者と要介護者の対人アプローチ特性の多面的アセスメントの可能性、その状況的必要に対応し得る評価ツールの開発等を試行しつつ考察することを目的とした。基礎資料の収集、調査のための項目検討と調査用紙作成、その調査の一部を実施し、データの収集中である。基礎資料の収集としては、関連する研究文献資料の収集、教育カリキュラムにおける教科書中で、どのように扱われているのかについて現在も情報収集しているところである。
 次に、実施調査のための項目検討と調査用紙作成は、身体接触される状況、接触の身体部位、経験した時期、その頻度、そのときの気分などの項目について、人間関係別に調査し、親子関係、健康感、自尊感情などについても併せて調べた。
 これらから抽出された指標や尺度などの整理と吟味を行ない、総合的な視点から、基礎統計量の算出、反応分布の検討、項目の整理、多変量解析等による分析・検討を継続中である。今後、介護者の対人アプローチ特性のアセスメント、個々の学生の傾向や特性に応じた教育課程や心理的支援が必要であり、その課題についても検討を展開したい。