表題番号:2001A-545 日付:2007/03/07
研究課題日本語動詞の意味を中心とした再分類
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 商学部 助教授 益子 真由美
研究成果概要
 過去数年行ってきた動詞の自他の区別のもととなる,項数と項役割はどのように決定されるのかについて主に研究を行った。

日本語の場合,意味的に動詞が必要とする項が常に義務的に表現されなければならない訳ではない。そのため,必須の項数を議論することには意味がない。また,項役割についても,談話の中で必要とされるもの,もしくは卓立しているもののみ必要となる。従って,動詞の「意味」は最大限表現可能な項とその役割に基づくupper boundのようなものでしかなく,文脈の中でその意味を解釈する以外方法はない。英語等の印欧語では項数について文法的制約が存在するものも多いが,意味解釈の面および口語での使用を考えた場合は日本語とさして変わらない。時間的制約のため,数多くの文脈を使って動詞の意味的・統語的性質を解明することは困難であったので,今後も研究を続ける所存である。