表題番号:2001A-189 日付:2003/02/23
研究課題「政治脳」・「政治知性」の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 国際教育センター 助教授 森川 友義
研究成果概要
1984年より現在に至るまで政治学の中でも、公共選択理論の手法を用いて、人間の意思決定について研究を行っているが、1990年代に入って特に重点をおいている研究は、「政治脳」の研究である。本領域は近年欧米政治学界(特に米国政治学界)において萌芽しつつあるコンピューター・シミュレーションを使った「政治脳」(Political Brain)あるいは「政治知性」(Political Intelligence)と呼ばれる分野である。

過去一年では、政治学と遺伝学のインターフェースを「政治脳」として捉えて、人間の意思決定能力の進化過程をシミュレーションによって分析した。特に「囚人のジレンマ」及び「Hawk-Doveゲーム」を人間が日常遭遇するゲーム対象として選び、自己の利益が相手の意思決定によって変化する場面を想定して分析を行った。その結果、相手の能力(うそを見抜く能力とうそをつく能力)をいかに上回るかが自己の利益に資するものであること、そのために人間は進化過程において「arms race」(軍拡競争)に類似したサバイバルゲームを繰り広げてきたことが分かった。

また、Hawk-Doveゲームは実際の国際関係に応用できる可能性を見出し、2001年9月11日の同時多発テロ事件に応用を試みた。それを独自の論文として執筆し、その成果は2002年3月のJounral of Politics and the Life Sciences誌において掲載された。