表題番号:2001A-164 日付:2002/05/09
研究課題魏晋南北朝時代における遼東・遼西地方の民族集団の動向
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 本庄高等学院 教諭 三崎 良章
研究成果概要
本研究の目的は、魏晋南北朝時代(3~6世紀)の中国の遼東・遼西地域における烏桓、鮮卑、扶餘、高句麗等の諸民族集団の動向、すなわちその存在形態、民族集団相互の関係等を明らかにすることであった。特にこれまで行なってきた東アジアの諸民族集団についての中国正史を始めとする文献史料による成果の上に立って、新たに考古学資料を活用し、文献史料と考古学資料双方を分析することによって、より具体的な動向を検討することに意義があった。
 具体的作業としては、まず当該地域の諸民族集団関係の考古学文献を収集し、各遺跡の出土遺物の状況、壁画の内容、墓誌・墓表・印章等文字資料などをコンピューターに入力し、考古学資料データベースを作成した。ついで文献史料に記される諸民族集団の記録と考古学資料データベースを総合して、それぞれの遺跡の民族系統を検討し、魏晋南北朝時代における諸民族集団の状況、相互の影響関係等を研究した。
 本研究を展開する過程で、遼東・遼西地域を中心として活動した諸民族集団の内蒙古自治区や河北省、河南省等の中原地域における遺跡も検討する必要性を感じ、データベース化の対象範囲を拡大した。
 その結果、河南省安陽の「孝民屯晋墓」や河南省洛陽の「軸承廠十六国磚棺墓」などから4~5世紀における鮮卑族の活動の状況が、また遼寧省錦州の「前燕李(カイ)墓」や北票の「喇嘛洞墓群」などから鮮卑族と漢族を含めた他の民族集団との交渉の実態が明らかになりつつある。それらを文献史料の記録で跡づける作業を展開中であり、その成果については2002年度において順次論文で発表する予定である。