表題番号:2001A-134 日付:2002/03/27
研究課題IT革命と金融革命と経済政策の課題
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 社会科学部 教授 東條 隆進
研究成果概要
経済政策思想としてのIT革命
 今日進行している新素材・バイオテクノロジー・エレクトロニクスの三大技術革新、さ
らに高温超伝導・アトムテクノロジーが技術融合と技術多様途化による革新的産業技術化
を可能にしている中で、半導体技術によるIT革命がもっとも注目されている。
 Information science,Computer,technology.
,Software工学が発展しているが,これが企業のIT化を押し進めている。この
IT化を中心とする技術革新はイノベーション・スピードを高め、伝統的な「規模の経済」
のメリットとしての技術革新効果と違った意味を持ってきている。産業革命過程で構成
された「生産関数」モデルは「資本」・「労働」・「技術」を生産要素として規定し、そ
の関数関係として組み立てられた。そして微分方程式を基礎にして展開された。
 企業の経営様式は利潤原理、利潤最大化原理で形成されている。この利潤原理は収益原
理と費用原理で構成されているが、
 利潤最大化=収益増大化-費用低下化、というように定式化される。
 生産関数は利潤原理のもとで収益増大化のための生産関数と費用低下化のための生産関
数に分裂し、技術革新はこの分裂を拡大させる。そしてこの分裂過程で作用する市場競争
は技術革新速度を増大化し、資本の技術化、労働の技術化が進行する。生産関数を構成す
るために資本・労働・技術をそれぞれ生産要素として規定することが困難になる。
 この生産要素の確定化の困難さは限界生産力理論を無力化させ、経済分析方法として無
力させる。そして限界生産力理論を根拠に経済政策を形成することを困難にさせる。
産業社会の根本問題として失業・雇用理論を構築することを困難にさせる。