表題番号:2001A-128 日付:2005/04/15
研究課題エージェントベース協調設計法に関する研究及び協調設計システムの開発
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助手 宮下 朋之
研究成果概要
複数の設計者が複数の異なる技術分野に属するような複合領域における設計問題においては,競合した設計要求や設計指標の協調をはかり設計候補を絞ることが重要であることをまず指摘した.ここでは,技術領域が複合するために設計指標間の比較や単一化の困難が生じるために,単一化可能な合理的な評価尺度を構築するためにデータ包絡分析法を工学問題に適用する工夫を施した方法を提案した.さらに,設計者の妥協を形成するために妥協案を算出する方法を提案した.これらの提案した方法に加え,設計者の妥協状況を判定する方法を提案し組み合わせることにより,妥協のための各種の情報を設計者に提示する擬人的な設計者をスーパバイズエージェントとして,コンピュータネットワークを利用したシステムとして開発した.すなわち,コンピュータネットワークを介して設計問題を地理的に分散する設計者や解析ソフトウエアなどの人的および物的資源を統合したシステムを開発している.提示した設計案の評価方法により得た評価値を向上する設計案を設計者に提示するよう要求することにより,競合する設計者間が妥協する設計案が得られることが明らかになり,スーパバイズエージェントが提示する妥協案を参考とすることにより,設計者の妥協形成に寄与できることを明らかにした.さらに,交渉状態に応じた妥協情報の提示度合いを変化させることにより,特に設計初期における妥協する意志の無い状況における妥協情報の提示の抑制が可能なこと,妥協が進まなくなった状況の設計者に対する設計案に近い妥協案を提示することにより,さらに妥協を進めることができることが明らかにした.また,実際の設計を行う場合に有用である商用解析ソフトウエアと最適化アルゴリズムを接続するソフトウエア部品を開発し,商用解析ソフトウエアの利用が可能となるとともに,各種,最適設計システムの構築において利用可能であることを確認した.