表題番号:2001A-106 日付:2004/04/01
研究課題古期英語語彙体系研究(意味領域「食物・饗宴」および「言語・情報伝達」の分析)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 助教授 森山 秀
研究成果概要
本研究は、英語語彙の歴史的変遷をたどり、意味変化の体系的記述を目指すものである。現存する英語の文書記録のうち最古の段階である古期英語(Old English)に焦点をあて、語義の分類法を探求する上で学術的に価値の高いとされる二つの意味領域「食物・饗宴」および「言語・情報伝達」に属する語群の分析を試みるものである。この目的を達成する手段として、まずJane Robertsらの編纂したA Thesaurus of Old Englishを詳細に検討し、関連する語彙リストの作成を行った。第2段階として、各語句が出現する古期英語文献の該当箇所に関連するラテン語文献の出典を特定し、古期英語テキストの持つ歴史的な背景を知ることが必要となった。このため、英語語彙の通時的研究で学術的に最も信頼のおけるOxford English Dictionary(CD-ROM)を入手した。また、トロント大学のDictionary of Old English ProjectよりDictionary of Old English Corpus(古記英語・関連ラテン語文献のデジタル化資料CD-ROM版)を入手して、テキストの分析を行っている。国内において入手困難な文献資料については、夏期休暇を利用してロンドン大学図書館、大英博物館(図書館)などで資料の閲覧・収集を行った。特記すべきことは、今回入手したトロント古記英語データベースCD-ROMに含まれるテキストは、その種類と言語データ量の面で格段の進歩を遂げ、検索によるデータ収集が非常に効果的行えるようになったことである。このため、本研究課題に関連して収集した言語データの量は研究開始当初に予想したものを大幅に上回るもので、処理・分析作業に時間を要しているが、データ分析が終了しだい、最終的な結論をまとめ、論文の形で提出する予定である。2004年3月の時点では、古期英語を中心とした関連語彙の語形態と意味分析を扱った論文3点を発表している。また、本研究の成果は、現代英語データ分析も含めた継続課題(2002A-553)にも反映される予定である。