表題番号:2001A-089 日付:2002/05/13
研究課題フラクタルの基本群(非可算非可換群)
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 江田 勝哉
研究成果概要
1.フラクタルの多くはペアノ空間(局所連結、連結なコンパクト距離空間)である。成果発表予定の1番目の論文の内容はペアノ空間の基本群、ホモロジー群に関する結果である。
定理1:局所的 n-連結なペアノ空間 X とスレンダ-群 S、特異ホモロジ-群 H_{n+1}(X) に対して、Hom (H_{n+1}(X), S) は有限被覆のなす多面体のホモロジー群の帰納極限と同型
となる。とくに、ペアノ空間 X の特異1次コホモロジー群はチェックコホモロジー群と同型である。
また定理1の非可換化として、ペアノ空間 X と非可換スレンダ-群 S、基本群に対して同様の結果が成立する。
定理2:ペアノ空間 X の基本群から無限個の群の自由積への準同型像は有限個の群の自由積に含まれる。
準同型写像が単射であるときはそれより強い次の定理が成立する。
定理3:ペアノ空間 X の基本群が2つの群の自由積 G*H の部分群と同型ならば G の有限生成部分群 G' が存在して G'*H の部分群となるか、H の有限生成部分群 H' が存在して G*H' の部分群となる。
2.一般に群 G に対して、空間 X_G を定義し、次が成立することを示した。
定理4:空間が1次元局所連結、連結な距離空間またはそれらの直積であるとき、G をその空間の基本群とすれば、X_G はもとの空間と同相である。