表題番号:2001A-087 日付:2002/05/25
研究課題反転分域構造その場観察用光第2高調波干渉顕微鏡の実用化
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 理工学部 教授 上江洲 由晃
研究成果概要
本研究室では光第2高調波(SH波)を用いた非線形光学干渉顕微鏡を開発し、それを用いて従来観測不可能とされてきた180度強誘電分域構造を非破壊で観測することに成功した。本研究は、この方法をさらに改良し、深さ方向の分域構造をも観察できるようにした。すなわち180度強誘電分域の3次元観察を初めて可能にしたものである。
 原理は試料が発生するSH波と、標準結晶板が発生するSH波を干渉させ、分域構造に対応したコントラストを生じさせるというものである。3次元観察のためには、従来やってきたような2つのSH波の位相が0だけでは知見は得られない。この他に、90度、-90度、および180度の4つの位相を用いて、干渉像を撮影し、それからh関数と名付ける2つのコントラスト関数(h1、h2)を計算する。この(h1、h2)平面の位相が、分域の深さに対応する。これより、結晶の厚さがコヒーレンス長と呼ばれる特性長さの2倍以下のとき、ユニークに3次元分域構造を明らかにすることができるというものである。
 この原理を使用して、応用上重要な強誘電体LiNbO3の電場反転を観察することに成功した。パルス電場印加のもとで、分極が逆向きの分域が横および縦方向に楔形に成長することが、明快に観測できた。
 この結果は、2001年9月に米国Providennceで開催された、圧電セラミックス日米セミナーでPlenary talkとして招待された。講演後、Prof.Crossなど米国の何人かの教授がこの研究に高い関心をもっていることを知り、うれしく思った。