表題番号:2001A-068 日付:2003/04/27
研究課題中国の対外政策の重層性-文化大革命における通商政策に関する一考察
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 専任講師 青山 瑠妙
研究成果概要
中国のアフリカ政策ーー1960年代対外援助の視点から

1955年のバンドン会議以降、中国はアジア、アフリカ、ラテン・アメリカを重視する政策を打ち出し、これら地域諸国に対する経済援助も次第に増加していった。
 1962年中国の対外援助拡大路線が確定された。1960年代行われた対外援助は以下の四つの特徴を持つ。
 (1)中国はソ連、アメリカを強く意識し、現地における中国の知名度を上げようとした。
 (2)知名度を上げるための手段としては、採算を度外視する援助を与え、短い工期と高い品質で西側諸国と勝負した。
 (3)中国は建設中に被援助国の内政を干渉しないことを原則にしていた。
 (4)中国は新興アフリカ諸国と国交を結ぶ際に、台湾と外交関係を持たないことを絶対条件としていた。
 このような特徴を持つ中国の対外援助政策はアフリカにおける中国の知名度を上げることには成功した。他方、中国の援助を受けているアフリカ諸国は、タンザニアのように他の西側諸国やソ連の援助をも同時に受けているため、重要な政策においても必ずしもいつも中国に同調するとは限らなかった。
 他方、アフリカ諸国と国交樹立に際し、中国は台湾問題を絶対はずせない原則としていた。このため、中国の国連代表権問題において、中国と国交を結び、中国の援助を受けていた諸国は、中国への支持票を投じる傾向があった。