表題番号:2001A-062 日付:2003/07/22
研究課題非線型放物形偏微分方程式の解の漸近解析・数値解析の不変多様体による研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 小林 和夫
研究成果概要
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無限次元Banach空間における半線形発展方程式に対する不変多様体(中心安定多様体、中心不安定多様体)
の理論の改良を行った。正確には、$X, Y, Z$ をBanach空間とし、$X$ と $Y$ は $Z$ に
連続的に埋め込まれているとする。$\{T(t)\}$ を$Z$上の $C_0$ 半群とし、
$F:R\times X\to Y$ は各$t$に対して、 $F(t,\cdot )$ は $C^1$級で、 $F(t,0)=0,\quad DF(t,0)=0$ とする。このとき、$\{T(t)\}$ に対する適当なスペクトル分割条件の下で、時間に依存する
半線形発展方程式 $u(t)=T(t)x_0 + \int^{t}_{0}T(t-s)u(s)ds $ は原点のまわりで、
$C^1$級の有限次元局所不変多様体を持つことを証明した。\par
さらに、この結果を、非有界領域上の非線形放物型偏微分方程式 $u_t=\Delta u + F(u,\nabla u)$ の漸近解析の研究に適用する試みを行った。有界領域上の偏微分方程式に対しては、その線形化された方程式
が離散スペクトルのみ持つので、有限次元のときと同様な議論を行うことにより不変多様体の
存在は知られているが、非有界領域上の方程式に対してはその線形化された方程式は
連続スペクトルのみあらわれ、スペクトルのギャップがないので有限次元のときの様な
議論は成り立たない。この問題に対して、これまでは重みつきの$L^2$型Sobolev空間の枠内で
扱われていたが、$L^p$型Sobolev空間で扱った。これにより、漸近挙動についてより精密な
結果を得た。今後の研究として、この手法をSwift-Hohenberg方程式の周期解に対する
非線形安定性問題の研究やSchrodinger方程式、Korteweg-Vries方程式などの
分散型方程式の漸近挙動の研究に適用し、これらの問題に新しい切り口を与えたい。