表題番号:2001A-060 日付:2002/05/10
研究課題非線形動学の方法による経済変動の研究
研究者所属(当時) 資格 氏名
(代表者) 教育学部 教授 稲葉 敏夫
研究成果概要
 貿易と資本移動を通じて相互依存の関係にある2国経済モデル(5次元非線形差分方程式体系)の動学的性質を数値シミュレーションによって調べた。モデルはカルドア型の不均衡マクロモデルを想定した。
 固定相場制および変動相場制の下で,景気循環の同期現象・非同期現象をはじめとして,多様な関連があり得ることを数値例によって示した。2国の所得調整速度が同一であれば,多くの場合景気は同じ動きを示し,同期するが,初期値を変更することによって2国の好況・不況の関係が完全に逆転し,逆相現象が現れることもあり得る。2国間の資本移動の流動性の程度を表すパラメータがノイズによって摂動されると系の挙動が大きく変わることも示された。2国間の所得調整速度の差異が大きくなればなるほど,短期的な同期現象は崩れ,逆相現象が顕著になるものの,中・長期的な波としては同期現象見られることが示された。
 また、2国モデルの拡張として固定相場制の下での3国モデルについても試みた。